バイリンガルと一般的な脳と異なり、2言語を習得するために適した脳の仕組み・特徴となっております。バイリンガル脳について理解することで、英語など海外の言語を習得するポイントやコツを把握できるでしょう。
これから英語習得・英会話学習をしたい方向けに、バイリンガル脳で役立つ情報を一通りご紹介します。日本語と英語を話せるバイリンガルは、脳に良い影響を与えますので言語以外のメリットも期待できますね。
バイリンガル脳について、英語を習得していない母国語(日本語)だけを使える人(モノリンガル)の脳と比較してみましょう。
一般的に言語習得をする際、運動性言語中枢(前言語野)と感覚性言語中枢(後言語野)の2つが機能して、言葉の理解や表現が可能となります。運動性言語中枢では言葉を話す機能、感覚性言語中枢では話や言葉の理解・文字を書く機能となります。
言語野の機能自体、バイリンガルとモノリンガルで差はないのですが、ポイントとしてバイリンガル脳は神経細胞が増えることにより、言語野など脳内領域のネットワークが強化されます。簡単に言うと、右脳と左脳の両方がバランスよく活発に働き、複数言語の習得がしやすくなります。
そのため、子供の頃から英語習得を目指すバイリンガル教育では、脳の発達や活性化にもつながります。神経細胞が増えやすく、より大きな成長が期待できるでしょう。
バイリンガル脳は英語など言語習得で優れているほか、ワーキングメモリーも優秀であることが海外の研究結果から明らかになっています。ワーキングメモリーは作業記憶など情報処理能力の一つで、短い間で心の中で覚えておくことを留めて処理するイメージとなります。
▷参考:Science Daily
ワーキングメモリーが弱い場合、一時的に覚えられる情報量が少なく言われたことを忘れてしまったり、一度に複数のタスクをこなせないなどデメリットがあります。
一方で、バイリンガル脳では複数言語の活用などによりワーキングメモリーが優秀になり、スムーズに言語を使いこなす・切り替える言語スイッチがあり、記憶力のほか自己統制力など総合的な実行力にもつながりますね。
バイリンガル脳の優れているポイントや、言語習得以外のメリットは複数あります。英語習得を目指すことにより、英会話スキル以外の能力・強みも得られるでしょう。
バイリンガルの方は脳の活性化により、言語習得のほか全体的な学習能力も向上します。
ワーキングメモリーの強化や、2言語を話せることで脳の回転も速くなります。子供のバイリンガルであれば学校の勉強も優位になり、大人の場合にはビジネス関連のロジカルシンキングなど、仕事面でもプラスに働くでしょう。
バイリンガルでは一般的に、トリリンガル(3言語目の習得)を目指す際にも言語習得の時間が短くなるとされています。
▷バイリンガルとトリリンガルの違いについて
脳の働きと関連して、アルツハイマーや認知症など日常生活に支障をきたす認知機能の低下も、バイリンガルはなりにくいとされています。
海外の研究者も、将来の認知症予防を目的に第二言語を学ぶべきという見解も示しており、認知症の種類によりますがモノリンガルと比較して発症が5年遅いことについて、研究で実証されております。
バイリンガルになるメリット・効果では、マルチタスクの対応から認識・解決などの思考が柔軟になることも挙げられます。
同じ表現を日本語と英語で使い分けたり、日本人と海外の方の両方と同時に話したりすると言語の切り替えだけでなく、表現の選択や周囲への配慮など注意力も上がります。言語を複数使えることから、柔軟な感性・思考をもって対応できますね。
バイリンガルは大人・社会人になってからでも学習すればなれますが、理想を言えば幼児からバイリンガル教育を受けることで英語など第二言語の習得がより早くなります。
日本語など母国語の理解が完全でない幼児は言語をこれから習得する段階なので、母国語と一緒に第二言語を覚えると意識せず自然と言語の切り替えができるようになります。また、大人は歳を重ねるほどに記憶力も弱くなりますので、バイリンガルを目指すなら早めの学習がいいでしょう。
ただ、バイリンガル脳ではデメリットもあり、脳への負荷や日本語と英語の切り替えに関する懸念点などを確認しておくといいでしょう。英語学習では基本的な知識のほか、会話・コミュニケーションの適応を意識したトレーニングも必要です。
2言語を話すと脳への負担が大きく、脳の働きが良くなる反面で疲れてしまうデメリットがあるでしょう。
バイリンガル教育を受ける子供だけでなく、大人も複数言語を使い続けると脳が疲れます。日本語と英語の翻訳・通訳は脳を酷使する作業であり、長時間の英語学習は集中力が続かないですね。
英語と日本語を使い続けるバイリンガルで、会話が不自然になってしまうこともあります。
例えば、日本語でよく使われる「よろしくお願いします」は汎用的で、相手への依頼やメールなど最後の挨拶で利用されます。
ただ、英語になると「Thank you in advance.」(お礼を申し上げます)や、「Thank you for considering my request.」(ご考慮いただきありがとうございます)など、ニュアンスが異なる言い方が多くあります。
バイリンガルは言語面の理解だけでなく、各言語に対応する文化を知っておくことが大事です。
英語から日本語への切り替えも同様に、ビジネスシーンで「Could you do this instead of me?」(私の代わりに、これをしていただけますか?)という表現を、日本語で「これ、やっておいて」と不躾に言うと違和感があるように、文化の価値観・礼儀の反映も意識するポイントです。
子供向けのバイリンガル教育では、言語力が中途半端になってしまう「セミリンガル」のリスクも挙げられます。
セミリンガルでは2言語の発音や会話は問題ないものの、読み書きや専門的なトピック・情報になると対応が難しいといったレベルですね。子供のバイリンガル教育において日常会話だけでは習得が不十分であり、認知・学習言語の能力を鍛えるために文法や構文など基礎からの勉強も重要視されるでしょう。
また、バイリンガルになるための学習やアウトプットでの練習では、言語の切り替えで苦労する方が多いですね。英語から日本語英語から日本語へ言語をスイッチする時、瞬時に切り替えることができないケースが考えられます。
感覚的に日本語を話している状況から英語に突然切り替えると、流暢に話せるまで約15分くらいかかります。私が留学中、まだ英語学習をしている段階では30〜40分ほどかかりました。これは個人的な意見ですが逆もあり、母国語の日本語も同様に毎日英語で話している環境から急に日本語に切り替えると、普段通り話せるようになるまでやはり15分くらいはかかりますね。
バイリンガルと言っても脳は不完全な機能で、言語の切り替えには多少時間を要します。ただ、英語と日本語の切り替えを日常的に行うことで切り替え速度が速くなり、通訳者は瞬時に言語を切り替えるためにサイトトランスレーションなどの練習で理解スピードを向上しています。
バイリンガル脳の特徴や傾向について一通り説明しましたが、実際にバイリンガルを目指すためのポイントや方法を最後にまとめました。英語が苦手な社会人の方でも、今から学習を始めることでバイリンガル脳の適応が可能です。
▷バイリンガルの定義や目指すための学習対策をこちらでも解説!
バイリンガルは英才教育のイメージがあり、「大人になってからの英語学習は遅い…」と感じる方もいるかもしれませんが、実際のところ大人になってからでもバイリンガルになれます。
海外への留学や移住、ビジネス英語などの習得を目的に社会人からの英会話学習を希望する方は多いですね。30~40代でも学習継続すれば英語を話せるようになる関連ページでもご紹介していますので、あわせてご参考ください。
バイリンガル脳と関連して「英語脳」といった言葉もありますが、英語を日本語に翻訳せずそのまま理解できることを示します。
英会話・スピーキングが苦手な方の傾向で、聞き取った英語を日本語に翻訳して、言いたいことを英語に変換するので会話がスムーズに進まないことがあります。対してバイリンガルの方は日本語への翻訳をせず、英語を英語として認識することでコミュニケーション・返答が早くなります。
最初は難しいかもしれませんが、リスニングやリーディングで英語のまま理解するように意識するといいでしょう。
英語力は毎日英語を練習・使うことで伸びますので、日々英語を利用する環境も大きなポイントです。バイリンガル脳を身につけるために、毎朝15分ほど日本語禁止の時間を作るとか、毎日英語で日記をつけて表現を学ぶといった対策からできます。
特定の場面・時間において日本語を使わない生活を続けることで、徐々に英語でのコミュニケーションに慣れていきますね。
英語学習は英会話レッスンに通わなくても、独学である程度まで上達します。YouTube動画や海外ニュースなどで、ネイティブの発音を参考にリスニング・スピーキングの練習をすると効果的です。
以下でも英語学習の準備を紹介していますが、バイリンガル脳で必要な英語力は総合的なもので、リーディングやリスニング・スピーキングなどバランス良く練習すると英会話スキルが上がるでしょう。
バイリンガル脳のデメリットでもお伝えした言語の切り替え、脳の負担といった点について、対策方法もございます。英語学習や英会話の練習をする前に、以下のようなウォーミングアップを行うと英語がスラスラ出やすくなります。
リスニングが集中できない方や、アウトプットで時間がかかってしまう場合などは、本格的な英語学習に入る前に脳を慣らしてみてはいかがでしょうか。
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