これから英語を本格的に学習する方で、「英文法や単語など基礎から学ぶ」や「中学英語から復習する」など、基本から学び直すことを意識されているのではないでしょうか。
確かに、英語初心者にとって基本からの勉強も大事ですが、英語の上達では文法だけでなくコミュニケーションとしてどう伝えるか、アウトプット的なトレーニングも求められます。
そこで、言語研究の観点から「形式文法」と「機能文法」の双方を基に、英語学習の効率を上げるポイントを解説します。言語学や文法など難しそうな言葉を使っていますが、内容自体はシンプルで英語初心者の方でもすぐ実践できます!
ページコンテンツ
はじめに、形式文法と機能文法のポイントから解説します。それぞれの違いについて要点は以下の通りです。
形式文法はいわゆるインプット学習で、文法的な観点で学習を行います。中学や高校での授業や、大学入試・TOEICなどの試験などで問われる英語力も、この形式文法が中心だと言えるでしょう。
具体的には、過去形や未来形など時制や五文型といった構文、英会話でよく使う英単語などを学びます。日本語でも小学校の時に「て・に・を・は」や平仮名カタカナを学ぶように、正しい文法で言語表現をするために必要な知識となります。
対して機能文法は「機能」という表現をしているように、言語面でのコミュニケーション・伝わり方を重視する学習となります。
機能文法に関して、海外の教授:Mark Halliday(マーク・ハリデー)より提唱された言語研究が参考になりますので、以下でも詳しく解説します。
※機能文法を簡単にいうと、同じ言葉・フレーズでも場面や文脈によって、変わってくる意味を分析する学習です。
英語学習に関するイメージは、文法や単語など独学で対策できる内容がメインになり、実際に学校での授業や英語関連の資格試験では、英文法をはじめ語彙力やリスニング・スピーキングなどが問われます。
ただ、日本の英語教育における問題点でも解説していますが、文法や語彙力などを重点的に対策できても、学校で習う英語だけでは英会話スキルなど実用的な英語力が身に付かない課題もありますね。
そのため、英語学習をより効果的にするべく、形式文法と機能文法それぞれの勉強をバランス良く行うことが大事です。
英会話学習でありがちな失敗例で、「インプットの形式文法がそんなに大した勉強にならないから、オンライン英会話でどんどん実践しよう!」と思い、オンライン英会話中心のトレーニングをする方がいますね。
ですが形式文法がよくないという話ではなく、インプットとアウトプットの両方を取り入れることで、英語力が向上するのが正しいです。
初心者向けの英語学習では、インプット型の形式文法から対策するといいでしょう。
英会話スキルでは、この形式文法の知識がまず必要となります。英語構文が理解できないと正しい語順でアウトプットできず、疑問文のフレーズを覚えないと相手への質問・会話が成立しないように、英語を効率的に学習するためにもインプットが優先されます。
日常的な英会話スキルであれば、中学英語レベルの文法・語彙で問題ありません。特段難しい知識は要求されませんので、コツコツと勉強すれば英語が苦手な方でも話せるようになるでしょう。
インプット学習がある程度進められたら、スピーキングや発音・英会話学習などアウトプットの機能文法を対策しましょう。
言語研究者のHallidayによると、言葉の意味や理解では文法的な側面だけでなく、言語がどのような状況で使われているかまで分析する必要があるとされています。
英会話のトレーニングでも、自分の学んだ英語のフレーズや単語がネイティブとの会話で正しく通じているかどうか、自分の意図した意味で共有されているかどうか確かめるのが効果的です。通じない場合は表現が悪いのか、発音が変なのか、それとも場面に合わないフレーズなのかなど理解することで機能文法の質が高くなります。
「学校での英語は役に立たないから、アウトプット中心で英語を学ぶ」とか「とりあえず英単語を暗記する」など、インプットとアウトプットの偏りがある方は英語力が伸びにくいです。
第二言語習得理論の一説でも紹介していますが、インプットとアウトプットは相乗効果の関係にあります。インプットで知識を得て、アウトプットの実践で自分の苦手な分野を分析して、そこからより効果的・重点的なインプットの学習につながります。
形式文法に該当する英文法などのインプット学習は割とイメージできるかもしれませんが、「機能文法としての英語の使われ方・言語の分析って何?」と疑問を持たれる方向けに、機能文法をもう少し掘り下げてみます。
上記でもお伝えしましたが、機能文法の研究についてHallidayという研究者の考察が参考になります。
正確には「選択体系機能文法」という呼ばれ方をしますが、「選択体系」という意味については以下の解釈がされます。
すごく簡潔に言うと、人は場面に応じて言葉を使い分ける必要がありますよ、という話をHallidayは選択体系機能文法で説明しています。
日本語での例を出しますと、「信じられん。マジで言ってんのそれ?」というAのフレーズと、「信じ難いですが、それは本当のことでしょうか?」というBのフレーズがあるとしましょう。
それぞれ、言葉としての意味は似ているのですが、以下の通り話し相手や状況によって使い分けることが普通です。
仮に上司にAのフレーズを言ったら「なんなんだその言葉遣いは!」と怒られる可能性が高く、女友達にBのフレーズを言ったら「急にかしこまってどうしたの、ウケる」と不思議に思われるでしょう。
このような事例が機能文法の一つの説明になっており、英語でも同様にフレーズや文法だけを覚えるだけでなく、個別の状況的文脈・背景にあわせた最適な表現・アウトプットの活用を覚えることで、ネイティブと同等の英会話が可能となります。
コンテクストや状況的文脈などの言い方をしましたが、言語を使う上での背景的な要素は3つあります。
今度は英語での例でフィールドとテナーとモード、それぞれを説明します。
といった状況であれば、「Please work harder. (もっとしっかり働いてください)」と直接的な指示・命令表現ができるでしょう。
一方で、仕事で困っている同僚をチャットで励ます場合には、「Good luck with your work.(お仕事がんばってね!)」と親しい感じでコミュニケーションを取るのが自然ですね。
このように、「働いてください」という根本的な意味は同じでも、状況的文脈による使い分けができます。話の前後やコミュニケーションを取る相手との関係性などで、伝わり方が変わるでしょう。
場所やコンテクストにより伝わる意味も違ってくることに関連して、ネットスラングも機能文法の一種だと言えます。
ネットスラングは、SNSや掲示板などネット上のフィールドと、書き言葉というモードの要素があり、例えば若者言葉の一つである「草」をネット上で記載したら「面白い」という伝わり方がされるように、本来の言葉の意味から逸脱します。
「草生える」というフレーズは、形式文法的な観点では正しくない言い方でありますが、ネット上では自分の感情を伝えるのに充分です。
これを参考に考察すると完璧な文法に沿わなくとも、状況的な文脈に適合したフレーズであったり、またはボディーランゲージや顔の表情(フェイシャルエクスプレッション)で言葉の意味を補完する役割にもなります。
伝える意思さえあれば機能文法上、相手とコミュニケーションが図れます。ただ、機能文法だけに頼ると構文や英文法などが不完全になり、表現の幅を狭めてしまうので形式文法の知識も大事ですね。形式文法と機能文法の両方を理解できれば、さらに正確に言語で会話ができるでしょう!
機能文法の重要なポイントを確認した上で、普段の英語学習でどう対策していくべきか以下でまとめました。
実用的な英語スキルを身に付けるために、英文法や単語だけ個別で勉強するだけでなく、ネイティブとの英会話を想定した表現練習や、海外文化の理解も求められます。
英語を話す場所(フィールド)とネイティブの誰を想定した会話か(テナー)というポイント、どのような文章・表現のルールがあるか(モード)を把握することで、ネイティブと同じ立場でのコミュニケーションが可能です。
動詞などのイメージもネイティブと同じように想像すると、ネイティブのニュアンスが掴めてきます。英会話で活用しやすい基本動詞について、関連ページでご紹介していますのでこちらもお読みください。
機能文法の理解は具体性や実用性が重視されますが、学習方法で効果的なのはネイティブの英語を教材にすることですね。
など、普段の独学でもネイティブ英語をお手本とすることで、状況的文脈ごとの使い分け・機能文法の理解が深まるでしょう。関連記事で、TEDを使ったリスニング対策もご参考いただけます。
また、機能文法ではコミュニケーションの相手に説明や思考、感情などどう伝わるのかが問われます。英文法や構文自体など形式文法として合っていても、話の起承転結や要約がゴチャゴチャだと本来の意図から外れたニュアンス・情報で相手に共有されるでしょう。
英会話スキルの上達を目的にディクテーションから文章全体を理解し、サマライジングでまとめる能力のトレーニングが有効です。インプットとアプトプットの両方を対策できますので、こちらも独学でご参考ください。
形式文法と機能文法の役割や英語学習について、重要なポイントは以下の通りです。
今回は言語学的な側面から解説したので難しい話に思えたかもしれませんが、まとめると「英語の基礎と実践はどちらも大事」ということと、「多少文法が間違っていても、相手に伝える意思があればコミュニケーションが成立する」のポイントになります。
英語への苦手意識がある方や、これまでトライした英会話レッスンでうまく話せずネイティブ講師を困らせてしまった…など失敗経験があっても、問題点や改善点が分かれば英会話スキルは上達します。
英会話学習に関して、研究されている内容や理論を参考にすると確実ですね。他にも重要な「英語脳」の考え方や作り方も、英語が話せない方にとって役立つ情報になりますので、以下ページよりお読みいただけますと幸いです!
▷おすすめ記事:語学の勉強法・習得のコツを詳しく解説
Aloha English英会話の専門家が
英語学習のお悩みや目標をヒアリングし、
あなたにあった学習法をご提案します。
担当者がじっくり日本語でお話をお伺いします。
英語で話すことが苦手な方はぜひご相談ください。
英語の聞き取りに関するお悩みもご相談できます。
英会話力を上げるための方法についてもご相談できます。
Aloha Englishの無料カウンセリングは
オンラインでのお打ち合わせとなります。
3ステップで簡単にお受けできます。
まずはご予約をお願いします。
お客様の都合に合わせて、カウンセリングの日時をお選びいただけます。
予約後、担当者から送られるリンクで
Skypeに接続します。
Aloha Englishの日本人講師に、あなたの目標や学習スタイルに合わせた相談ができます。
60秒で完了する簡単なステップで、
無料カウンセリングの予約が可能です。
コメントを投稿するにはログインしてください。