シャドーイングの練習をしているものの、難しくて英語学習が思うように捗らないとお困りの方もいるでしょう。その場合、効果の出る正しいシャドーイングの学習方法を知りたいですよね。
英語の聞き取りやリスニング力を上げるために、シャドーイングは効果的な学習法です。イヤホンなどで聞いた音声を即座に復唱する、とてもシンプルなトレーニング方法であります。
しかし音声についていけず単語が聞き取れないなど、思っているように取り組むことができないこともあります。特に英語初心者の方にとって、シャドーイングの練習を始めてすぐは苦戦することも多いですが継続的に続けることで必ず上達しますので、諦めないことが大切です。
シャドーイングの効果を実感できるやり方や、練習を続けて難しいと感じた時の対処法についてご説明いたします。シャドーイングを練習したものの、難しくて諦めてしまった方はこの記事を読んで、ぜひもう一度再チャレンジしてみてください!
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まずはシャドーイングの基礎的な知識について、ご紹介いたします。シャドーイング(shadowing)は影(shadow)という言葉があるように、追いかけて復唱して行くようなトレーニングです。
シャドーイングとはリスニング上達のための学習方法です。聞き取った英語を少し遅らせて(0.5秒ほど)、聞き取った通りに発音します。通訳者になるためのトレーニング方法としてよく知られています。効果は絶大で、一般的な英語学習者にもおすすめでなメソッドです。
映画を字幕なしでみたい。ネイティブの早い英語を聞き取りたい。TOEICのリスニングパートを攻略したい。シャドーイングは英語の聞き取りを改善したい方におすすめの学習方法です。
通常の音読やリピーティングは、話すこと(スピーキング)がメインの練習である一方、聞いた英語の音声をすぐに話していくシャドーイングは、リスニングとスピーキングを同時に学んでいくような手法となります。
そのため、リスニングや発声練習の中でも難易度が高く、初心者の方にとって続けるのが大変だと感じることもあるでしょう。ただ、話すことと聞くことの両方を鍛えるシャードイングで得られる学習効果は多く、リスニングに限らず英語スキル全般を向上したい方におすすめですね。
英会話学習でシャドーイングを取り入れるメリットについて確認しましょう。独学でなかなか英語のスキルが伸びないという方は、シャドーイングはとても効果的なのでぜひお試しください。特に重要な、5つの学習効果について以下でまとめました。
シャドーイングの効果で分かりやすい変化は、英語がゆっくり聞こえるようになることです。シャドーイングでは、ネイティブの英語を同じスピード・同じ発音で繰り返すトレーニングなので、英会話のスピードに徐々に慣れてきます。
また、リスニングの強化だけでなく英語を英語のまま理解する習慣が身に付き、英語の内容理解もスムーズになるためシャドーイングを続けることでネイティブの英語がゆっくり、確実に聞き取れる効果が出るでしょう。
シャドーイングにより、英語の発音が上手くなる効果もあります。発音が苦手な方の多くが、日本語にはない音が分からず聞き取りも難しいという課題がありますね。
ネイティブの発音を再現するように発声練習をしていくシャドーイングでは、苦手な英語の母音・子音を繰り返しトレーニングしていくことで理解が深まるでしょう。
英語では日本語の発音を比べて、イントネーション(抑揚)とリズムが異なる部分があります。英語独特の音や音の連結が起こるため、理解をしていないとリスニングでつまづくでしょう。
連結の仕組みを理解したうえで、英語のイントネーションを学ぶと必ず発音が良くなります。そのためにもシャドーイングは効果的で、英語のリズムやイントネーションの聞き取りや発音練習までカバーできます。
▷参考:英語のイントネーション(抑揚)とリズムで誰でもネイティブ発音
一つの目安でシャドーイングを3ヶ月以上続けることで、スピーキングも上達します。素早く、流暢な英語を話すためにはシャドーイング練習は不可欠です。
また、シャドーイングで政治家や有名人・タレントなどのスピーチを模倣することで、英語でのアウトプット・自己表現も強みとなります。「英語で話すことが恥ずかしい…」と感じる方でも、英語の話し方を学ぶことでリスニングだけでなくスピーキングも上達しますね。
▷おすすめ記事:英語のスピーキング練習方法について一通り解説!
スピーキングと関連して、英語の定型表現も身に付くシャドーイングでは表現力向上にもつながります。日常英会話やビジネスシーンでよく使うフレーズをリスニングして、シャドーイングでのアウトプットを繰り返すことで、自然と定型表現が会話で出てくるようになります。
インプットとアウトプットを同時にこなすシャドーイングでは、話し相手から聞いた英語を理解して返答するといったリアルな英会話のスピードにも対応できる練習であります。「こういったシーンで聞かれたら、このフレーズが自然な回答かな」と、実際の英会話をイメージしながら練習すると使える英語を学べるでしょう。
シャドーイングの正しいやり方を解説します。正しいやり方でシャドーイングをおこなうには時間と集中力がいります。我慢強く学習を進める必要がありますね。
得られる効果は大きいので頑張ってトライしてみてください。
シャドーイングとは聞き取った音を0.5秒遅らせて発音します。聞き取った音を正確に(発音・リズム・発音している人の感情までも)真似をして発音してください。シャドーイングをおこなう際は文章を見ないで、聞き取った音のみを頼りに発音します。
発音をする際は、できるだけ声のボリュームを大きくしておこないましょう。声のボリュームをあげると、自然と口を大きく開けての発音になります。口まわりの筋肉を鍛えることができ、伝わりやすい発音になります。
シャドーイングには3種類の発声方法があります。練習のフェーズごとに切り替えながら学習をすることをおすすめします。
では3つの発声方法について詳しく解説していきます。
英語の音に特化した学習方法です。プロソディ・シャドーイングをおこなう時は聞き取った英語の意味を理解する必要はありません。音にのみ集中してシャドーイングをします。
英語の意味も理解しながらシャドーイングをします。意味も同時に理解しながら、聞き取った音を発音する。コンテンツ・シャドーイングは難易度が高いため、プロソディ・シャドーイングが完璧にできた状態でおこなうようにしましょう。
小さな声のボリュームで、ブツブツと発音するシャドーイングです。日常的に聞こえる英語を無意識のうちにマンブリングできるようになれば、英語リスニングに自信を持てる状態になっているはずです。
さらに教材を選ぶときにも役立ちます。マンブリングをして、英語のスピードについていけない場合は教材のレベルが合っていないということ。マンブリングをして自分に適した教材をみつけましょう。
シャドーイングをおこなう際の注意点として、自分に合った教材を選ぶようにしましょう。おすすめの教材や選び方は「シャドーイングの練習で挫折しないおすすめの教材を選ぶポイント」をご参考ください。
通常のシャドーイングは難易度が高いため、この記事では通常のやり方と初心者向けにアレンジした2つの方法をご紹介します。
初めて使う教材や音源を使います。
マンブリングでスピードやリズムを把握します。マンブリングで発音が慣れたら、声のボリュームをあげてプロソディ・シャドーイングをします。聞き取った音を真似できたら、コンテンツ・シャドーイング。聞き取った英語の情景を思い浮かべながら、シャドーイングします。
感情や抑揚もコピーします。目をつぶりながらおこなうことで感情移入することができます。身振り手振りなどもいれ、発音している人の気持ちを理解しましょう。小さなコツですが、感情・抑揚をコピーすることで英語を英語のままで理解できるようになります。
通常のシャドーイングは難易度が高い。初めてシャドーイングに挑戦する方は、今まで使ったことのある教材で以下の手順をお試しください。教材は本来の自分の英語レベルより簡単な教材を選ぶことがポイントです。
文章を見ながらシャドーイングを何度も繰り返します。スピードに慣れたら、文章を見ずにシャドーイング。これで英語のスピードに追いつくことができます。さらに知らない英単語を調べることで、コンテンツ・シャドーイングが練習しやすくなります。
理想は聞き取りをしながら英語を理解することですが、初心者向けのシャドーイング方法を繰り返すことで、徐々にできるようになるはずです。
シャドーイングの正しい手順を解説しましたが、最初はうまくいかないことがたくさんあります。何度も練習を繰り返せば上達するので、諦めず繰り返しトレーニングをしてください。
それでもシャドーイングが難しい・できないと感じたら、以下のような対処法をお試しください。
対処法
ではシャドーイングが難しいと感じるケースとその対処法を具体的にみていきましょう。
シャドーイングが難しくてできない、とお問い合わせを頂きます。ほとんどのケースが教材のレベルが合っていないことが原因ですが、教材を変えてもまだ難しいと感じることもあります。以下では、主な3つのケースについてご紹介します。
単語レベルも内容も簡単なのに、英語のスピードについていけないケース。シャドーイングを始めてぶつかる壁です。めげずに3ヶ月は続けることが大切です。
知っている英単語なのに、聞き取れない。ネイティブ発音を理解していないことが原因です。自分が発音する英語が日本語発音のままだと、英語はいつまでたっても聞き取ることができません。
英語と日本語の語順に問題があります。以下の例文をご覧ください。
I think / I left my bag / here / last night.
「私は昨晩ここにバックを置いてきてしまったと思います」
日本語訳をする際に、英語を後ろから訳していく語順にお気づきでしょうか。英語を最後まで聞き取らないと日本語訳にできない。この語順のまま訳していれば、音声はどんどん先に進み、内容が頭に入ってこないという現象が起きます。
英語を聞き取る際は、英語の語順のまま日本語訳にする必要があります。
シャドーイングをスムーズにおこなうためのコツを4つご紹介します。
シャドーイングをおこなう音源の秒数(長さ)をチェックしましょう。1分前後の音源を選ぶことが重要です。さらに音源のスピードより、約15秒ほど早く音読できるように挑戦してください。文章をみながらで構わないので、タイマーで時間をきっちり計測しましょう。
文章を見ながら素早く音読を繰り返すことで、英語のスピードについていけるようになります。
聞き取れない音を教材の文章でチェックします。聞き取れない音の原因はリエゾンが関係しています。リエゾンとは単語と単語が連結し、違う音に聞こえてしまう現象です。
Not at all⇨ノラロール
ノット アット オール。1単語ずつ発音する音とは全く違った発音になります。「ネイティブ発音に必須!3種類のリエゾン(リンキング )を易しく解説」で詳しく解説しているので参考にしてください。
チェックした音を音源と同じように発音します。不思議とちゃんと聞こえるようになります。さらに聞こえない音に共通点があることにも気づくはずです。自分の苦手な音を把握することで、聞き取れない発音が減っていきます。
通訳者が使う英語を英語の語順で理解するための学習方法です。
I think / I left my bag / here / last night.
「私は思う / バックを置き忘れた / ここに / 昨晩」
英語を英語の語順のまま和訳することで、理解するスピードを早くします。「通訳者も訓練するサイトトランスレーションで読解スピードを底上げ!」シャドーイングと組み合わせることで効果が高まります。
対処法をおこなってもシャドーイングがうまくいかない場合は、オーバーラッピングから挑戦してみましょう。オーバーラッピングとは英文を見ながら、音声にぴたりと合わせて音読をします。
文章を見ながら練習できるので、初心者の方でも取り組みやすい学習方法です。詳しい方法は「オーバーラッピング の効果を解説|TOEICリスニング対策に有効」で解説しています。
シャドーイングの正しいやり方を把握する上で重要なのが、教材の選び方になります。
詳しくは、シャドーイングの練習でおすすめの教材でもご紹介していますが、書籍や動画などネイティブの英語音源を利用する際に注意するべきポイントを確認しておくといいでしょう。
シャドーイングの練習において、英語レベルに応じた難易度であることが求められます。教材の音源や動画によっては速めのネイティブ英語であり、初心者の方にとって聞き取りが大変でなかなか練習が続かないデメリットもありますね。
一般的な速さの音源、または少し遅めのネイティブ英語が聞ける教材からシャドーイングを始めてみるのが確実で、会話内容(スクリプト)を読めることが選ぶ一つの基準となります。
初心者向けのシャドーイングで利用できる教材では、VOA Learning Englishというニュース視聴アプリがあります。学習者向けの時事ニュースを取り上げており、初心者でも聞き取りやすいゆっくりとしたスピードで読まれているので活用しやすいですね。
▷おすすめ記事:英語のニュースでリスニング対策を!
また、シャドーイングでは実際の英会話で使いたい表現を鍛えるのも目的であるため、どのようなシーンで英語を使えるようになりたいかが重要です。
など、シーンや目的に応じた教材の選定が大事で、詳しくは関連記事でおすすめの書籍・動画などご紹介していますのでご参考ください。
▷おすすめ記事:目的やレベルにあわせて選べるリスニング教材まとめ!
シャドーイングの練習により、リスニングやスピーキングが上達することなどご説明しましたが、英語学習の効果をより高めるにはほかの練習方法もあわせて実践するといいでしょう。
▷おすすめ記事:英語が全く聞き取れない人が3か月でリスニングを上達させた方法
リスニングでの課題感がある方は、聞き取りを重視したトレーニングがおすすめです。上記でご紹介しました、初心者向けのオーバラッピングのほかディクテーション(書き取り)でリスニングを集中して対策できます。
▷挫折しないディクテーションの方法を解説|英語リスニング集中力UP
また、リスニングで聞き取りができなった部分について、まずは目でスクリプトを追いながらチェックしていくアイ・シャドーイングから確認して、リピーティングで苦手な英語の音・フレーズを重点的に練習するといいでしょう。
聞き取ったネイティブの英語をより完璧に再現したい場合、アウトプットを強化する目的の練習が効果的です。覚えた英語をスピーキング練習する英語のレシテーション(暗唱)が、より難易度の高いトレーニングであるほか、英語の発音やイントネーションを意識した対策もおすすめです。
▷英語のイントネーション(抑揚)とリズムで誰でもネイティブ発音
また、英語の表現力を高めたい場合には、聞き取った英語を正確に再現するシャドーイングとあわせて、聞き取った英語の内容全体を把握した上で、自分で英文を作って同じ意味でアウトプットしてくリプロダクションでの練習がよく利用されています。
シャドーイングの学習効果として、英会話での定型表現・フレーズを使えるようになるメリットがありますが、そこから自分で考えた英語表現を柔軟にアウトプットできるまでになると、より自然な英会話が可能になりますね。
シャドーイングの正しい取り組み方と難しいと感じた時の対処法を解説しました。以下のことを学ぶことができたはずです。
英語のリスニングだけでなく、発音や英単語力の改善にもつながる素晴らしいトレーニング方法です。英語に対する苦手意識がある方でも、繰り返しシャドーイングをすることで徐々に慣れてきますね。
とてもハードな練習方法ですが、確実に効果を実感することができます。シャドーイングを練習したものの、難しすぎて諦めてしまった方。もう一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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