リエゾンがわかると、ネイティブ英語が聞き取れる。これは本当なのだろうか?
ネイティブは文章を読むとき、音を変化させて発音をします。この変化をリエゾンと呼びます。リエゾンが起こると、単語のスペルとは全く違った読み方になります。英語が聞き取れない理由はこのリエゾンが原因なのです。
この音の変化がわかると、ネイティブ発音は嘘みたいに聞き取れます。そしてリエゾンには3種類の発音に対する変化があります。
仕組みさえ理解してしまえば、リエゾンは難しくありません。誰でもネイティブ発音を簡単に真似できます。ネイティブ発音を真似できれば、聞き取り(リスニング)力が自然と身につきます。自分の発音が外国人に通じて、さらに聞き取りまでできる。コミュニケーションの世界観もきっと広がるはずです。ぜひ身に付けていってください。
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ネイティブは単語のスペル通りに発音しない、という厄介な特徴があります。この発音を変化させて読むことをリエゾンと呼びます。
ネイティブは文(単語の集まり、まとまった内容)を読むとき、発音方法を変化させて音声を出します。そしてリエゾン(発音の変化)には3種類あります。
これら音の変化を知らずに、英語を聞き取ると、全く違う音に聞こえてしまいます。音の変化、つまりリエゾン、を理解することで、正しいネイティブ発音を身につけることが可能です。
英語の発音でよく耳にするリエゾンですが、リエゾンは本来フランス語を学ぶときに用いられる用語です。正式には英語では「発音の変化」をリエゾンという呼び方はしません。リンキング・リダクション・フラッピングが正式名称です。
英語発音の学習をするとき、どこかでリエゾンという単語が使われ始めました。それが一般的に広まってしまったのでしょう。正式にはリエゾンとは呼びませんが、学習方法の一つとして定着しつつあるので間違えということではありません。
リエゾンを学ぶことで得られるメリットは主に2つあります。
英語はコミュニケーションの手段であり、「伝える」「理解する」ことが大切です。英会話と発音は切り離すことができない関係性なのです。
リエゾンを学ぶことで、誰にでも伝わる発音、を身につけることができます。多少文法や表現が間違いでも、発音さえ良ければ、英語は通じます。
音の連結(リエゾン)を学ぶメリットは発音改善だけではなく、英語の聞き取り(リスニング)力も向上します。当スクールでも多くの生徒がネイティブ英語が聞き取れないと悩みを抱えています。英語学習を諦めてしまう原因もリスニングにあります。
リスニングの上達方法として、何度も教材の音声を聞く。聞き取れるまで、何度も何度も・・・。かなり気の遠くなるような学習方法をして、挫折してしまった方も多いのではないでしょうか。リエゾンを練習するだけで、リスニングは驚くほど上達します。シャドーイングという特殊なトレーニング方法を使い、音読練習をすると英語が「ゆっくり聞こえる」と体感できるはずです。
学習するメリットが大きいリエゾンの仕組みを理解して、自らも発音できるように練習してください。ワンランク上の英語力が身に付くことをお約束します。
それではリエゾン3種の発音変化について詳しく解説していきます。
リエゾン3種類の中でもリンキング が一番重要です。リンキング さえ理解できれば、ネイティブ発音に大きく近づくことができます。
リンキング (Linking)とは単語と単語がくっついて発音されること。Link+ingという単語の意味が示すように、単語と単語がリンクします。誰でも知っているリンキング の例としては「ありがとう=サンキュー」です。単語を一つ一つ発音すると「サンク ユー」という発音になります。しかしリンキング が起ることで異なる発音に変わります。これをリンキング と呼びます。
そのほかにもリンキング は頻繁に起こります。リンキング が起こる仕組みを解説していきましょう。
リンキング の仕組みはとっても簡単です。ローマ字読みさえできれば、誰でもリンキング を理解することができます。
語尾の文字と語頭の文字がリンキングします。連結したときはローマ字読みで発音します。
「ランチ・スターツァト・トゥエルブ・オクロック・エン・デンザット・スリー・オクロック」と発音します。単語と一つ一つ発音する音とは全く違う発音になっています。
単語の終わりが「ア・エ・イ」の音で終わる場合は「Y」の音が追加されるリンキングです。
”a e i”の音で終わる単語を発音するとき、唇の形が笑顔の「ニィ」とした形になります。その笑顔の唇で発音することで、実際にはない「Y」の発音が加わります。
動詞と前置詞の連結が起こると、発音が大きく変化します。ディクテーションという英語の書き取り練習中、多くの生徒が前置詞を聞き逃してしまいます。
解説を見ると仕組みは簡単ですが、耳で聞くと聞き逃してしまいます。音読練習をして、リンキング発音に慣れておく必要がありますね。
聞き馴染みのあるリンキングですね。「you」は様々な単語と連結して、音が変化します。
音読の時は当然ですが、頭の中でリーディングするときもできるだけリンキング発音を意識しながら読み進めてください。普段から意識することでリンキングは定着しやすくなります。
リンキングがわかるだけで、多くのリスニングに関する疑問が解消されます。様々な組み合わせのパターンに触れると、普段の会話でも自然とリンキング発音で音を出せるようになります。もっと細かなルールや例文は、「リンキングの仕組み解説」をご参照ください
これらの例のように音が離脱して、本来のスペリングと違った発音をします。リンキング と比べると、大きな変化はありません。
単語のスペル通りに発音すると、発音しづらい文字の配列があります。リダクションはどの言語でも起こり得る現象で、日本語にも起こります。例えば「おはようございます」、実際は「おはよーございます」と「う」を省略します。
芸術や音楽など、または俳優さんで独特な話し方をする人は、このリダクションを無意識に使っています。よって「全く何を言っているか聞き取れない」こともあるでしょう。自分の好きなアーティストなどのインタビューを聞き取れるようにしたい方は、リダクションを学習すると独特な話し方をする人の英語が聞き取れるようになります。
単語の語尾に破裂音[b/d/g/k/p/t]が来た場合、語尾の音を省略して発音しても良いというルールです。例えば、think /θink(シンク)/という単語は、[k]を省略して、/θin(シン)/と発音することが可能です。
リダクションは必ず起るわけではありません。あくまでも単語を発音しやすいように省略される現象です。Topを「トップ」と発音するより「トッ」と発音した方が簡単なはずです。ネイティブは無意識にスペルを省略するのです。
副詞lyの前のtも発音しないことが多いです。-tlyと-dlyの綴りがある単語はとても発音しづらい。「T」「D」を発音しないと、一気に発音しやすくなります。
副詞lyのリダクション例
「・」の部分には一瞬間を置いて発音してあげるとネイティブのように発音することができます。音声を聞くと具体的にわかると思いますので、下記の資料を参考にしてください。
機能語のリダクションとは:
以下の例文をみてください、日本語発音と比べると大きな違いですね。
その他のリダクション例
リダクションは奥が深く、たくさん種類があります。「リダクションの仕組みと例文」にて詳しい内容を解説しています。
フラッピングとは英語を発音するとき、Tの発音方法が変わることを指します。「T」の音(主にタチツテト)がラリルレロまたはナニヌネノの音に変化します。主にアメリカ・カナダ・オーストラリア英語にみられる特徴です。イギリス英語ではフラッピングは起こりません。
フラッピングができると発音がネイティブ発音に近づけます。ネイティブはフラッピングを会話で頻発するため、「スペルの発音と違う」となります。これが英語が聞き取れない原因の一つでもあります。フラッピングは発音改善だけでなく、英語の聞き取りにも効果があります。
単語内だけでなく、文中でもフラッピングは起こります。特に「T」で終わる動詞と前置詞や副詞、代名詞との相性はとても良いです。ここでは2つの文中で起るフラッピングの例をご紹介します。
①語尾がtで終わる動詞+母音で始まる前置詞・副詞・代名詞
②語尾がtで終わる前置詞+代名詞
リンキング とリダクションも同時に起こりますので要注意。3つの音の連結(リエゾン )を駆使して、ネイティブ発音に近づきましょう!
フラッピングは頻繁に起こり、英語の聞き取りを難しくする原因です。「フラッピングの仕組みと例文」でさらに詳しく解説をご参照ください。
whatのtとareのaがリンキング、発音は「ワット アー」から「ワッター」に変化します。。
さらに、whatのTが「L」音に変化します。すると、「wɑlər ju: ʌp tu:(ワラーユー アップ トゥ) 」という発音に変化します。
BringのGとitのTが脱落します。さらにリンキングが起こり、「ブリニッ」の発音へ変化します。
Take とThemはリダクションとリンキングが同時に起こります。リエゾン前と後では発音が全く異なります。このような発音は特にアメリカ系の発音によく見られます。
リエゾン3種類全てが起こる例文です。この例文に主語の「you」が加わると聞き馴染みのある、「ヨウ・チェッキ・ラウ」の発音になります。
ネイティブはリエゾンの他にイントネーション(抑揚)も変えて、伝えるニュアンスを微妙に変化させます。主張したい部分を強調したり、弱くしたりすることで抑揚をつけた発音になります。
伝えたい単語にイントネーションを加えて発音します。すると伝わり方が変わり、聞き手の理解にも変化が生まれます。
自分の意見に感情を込めて発音するとイントネーションがリズミカルになります。詳しくは「強弱のあるイントネーションの付け方」を参照ください。
リエゾンに加え、ネイティブ特有のイントネーションが入ると発音はさらに変化します。
Youの発音が弱音となり、laterにフラッピングが起こります。すると知っているフレーズですら、違う音に聞こえてしまいます。
文や文章になるとネイティブは発音を大きく変化させます。この発音を自分でも再現したり、聞き取れるようになるためには、やはり練習が必要です。ネイティブ発音と言っても、5種類あります。どの国の発音を目指すか、最初に決めておくと良いでしょう。
ネイティブ英語は1種類だけでなく、5種類もあります。英語を母国語として話す国は5カ国あり、それぞれの特徴は異なります。
英語ネイティブと呼ばれる5カ国
アメリカ・イギリス・オーストラリア英語の違い
それぞれの国ではアクセントが全く違います。日本語の方言に似た感覚です。国によって違う発音を聞き分けられると良いでしょう。「ネイティブ英語の聴き比べ」にて発音の違いをご紹介しています。
ネイティブの発音をマスターするには英語をよく「聞いて」「音読する」ことが極めて重要です。両方を効率よく学べるのがオーバーラッピングとシャドーイングです。この方法はプロの通訳士が使う本格的な学習方法で間違いなく効果を実感できます。「リスニングに特化した勉強法」にて詳しい方法を解説しています。
さらに発音をするときの口(唇・舌)の形も練習すると良いでしょう。
日本語にはない口周りの動かし方があります。「英語発音のコツ」をご参照ください。
リエゾンについて解説しました。リエゾンは英語を発音する際の音の連結を指します。正式にはリエゾンはフランス語の発音を練習する際に使う用語で、英語では使いません。英語では以下の3つの音の連結があります。
3つの音の連結に関する仕組みをしっかりと理解しましょう。ネイティブ発音が聞き取れない理由がこれではっきりとわかるはずです。仕組みを理解したら、ネイティブ発音をよく聞いて真似すること。これが発音を改善するための近道です。
練習方法についても解説しましたので、シャドーイングなどの方法を使ってスキルアップを目指しましょう。発音は練習した分だけ、伸びていきます。前向きに練習に取り組んでくださいね。詳しくは、英語の発音練習方法・プロソディ(要素)の解説ページでも取り上げています。
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