英語で「〜しなければならない」という表現をする場合、「should」と「must」のほか「have to」でも表現ができます。
ですが、それぞれ全く同じ意味という訳ではなく、相手や自分に伝える「義務」の強さやニュアンスが異なります。
そのため、「あなたは〜〜するべきだ!」という意味に対して、「You must~」だけでなく「You have to~」や「You should~」などの使い分けをしないと、場面に相応しくなかったり、相手にとって高圧的なやつだ! と勘違いされてしまう可能性もありますね。
など、こちらのページで一通り解説していきます。例文から具体的な表現が分かったり、shouldとmust・have toに関する文法の知識も身に付きます!
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「〜しなければならない」という「義務」を伝える上で「must」と「have to」と「should」の3パターンありますが、違いをざっくりまとめると以下の通りです。
コアイメージをそれぞれ理解できれば、場面に応じた使い分けがしやすくなるでしょう。
mustのコアイメージには「絶対的」な判断や選択肢があり、私やあなたなどの主語に対する選択肢が一つだけになっている状況が挙げられます。
以下でも比較していますが、似たような意味のshouldはhave toと比べても強制力が大きいです。
例えば、用事があって家から出る予定がある時に「午後からでもいい」「明日でも大丈夫」という選択肢がある中で、絶対に今出るべき! となる場合には「I must go now.」と表現できます。
「must」は最も強い意味合いで、「絶対に〜〜するべき!」などそうしなければならないことを強調して表現しますね。
You must study English everyday. (あなたは英語を毎日勉強しなければならない)
You must apologize to her. (あなたは彼女に謝るべきだ)
話し手(「must」を言う側)にとっての義務感が強く、命令や強迫に近い形で伝える場合には「must」が合っております。
「絶対にそうすべきだ!」との場面では良いですが、あまり日常的な英会話で多用する機会はないので、通常は「have to」や「should」で表現するといいでしょう。また、相手への命令では丁寧な命令文の方が言うことが多かったりしますね。
have toのコアイメージは、状況的な理由での「〜しなければならない」が当てはまります。
mustで紹介しました「I must go now.」は強制力のある表現ですが、「I have to go now.」と言った場合には外部的な要因・背景が読み取れます。
例えば、これから彼氏とデートの時間になったから行かなければならないとか、そろそろお店が閉まる時間だから家を出なければならないなど、客観的な視点からせざるを得ない状況がイメージできるでしょう。
「have to」で使える場合には、「must」と比べたらそこまで強制力はなく、状況的にすべきことを表現している感じですね。
I have to get up at 7 o’clock tomorrow. (私は明日7時に起きなければならない)
We have to have a discussion. (私たちは話し合いをしなければならない)
明日は仕事が早いから7時に起きるべきとか、次のプロジェクトがあるから一度話し合いをするのが自然だ、といった意味合いで、個人的な感情とは別で客観的に必要なことを「have to」で表現していますね。
また、ネイティブが使う「have to」の解説ページでも解説していますので、ご参考までに。
shouldのコアイメージには、何かに導かれる状況が想起されます。
「〜しなければならない」過程があり、これまでの自分の経験・考えから導き出した選択のほか、相手からの指南・アドバイスにより誘導されるようなイメージができます。
「should」はより強制的な義務の要素が薄れ、「〜した方が良い」とか「できるなら〜するのがいい」と、意見や提案に寄せた意味合いになります。
You should rest today. (体調の悪い相手に対して|今日は休んだ方が良いですね)
We should be careful. (私たちは慎重になった方が良い)
アドバイス的な感じで相手に提案できるのが「should」で、少し丁寧な言い方ですね。詳しくは助動詞「should」の使い方でも解説しております。
3種類の「義務」を表す英単語について「must」が最も強制力があり、「have to」が状況的にしなければならないことを示し、「should」は提案に近い柔らかいニュアンスで言うことができます。
イメージにするとこんな感じで、それぞれの強度・強制力を整理しておくといいでしょう。
「must」には義務の強度がもっとも高く、以下でも説明していますが「推量(〜だろう)」を意味する助動詞の用法でもmustは断定に等しい言い方ができます。
強制力がある言い方=相手に義務を伝えるようなニュアンスになり、基本的には相手側の選択肢がないようなイメージです。
強い言い方であるため、普段の英会話で多用すると相手から「圧が強い人だな…」と悪い印象を与えてしまうことも考えられるので要注意です。ビジネスシーンで「must」を使うのは避けた方が良いですね。
日常英会話でも、疑問形や否定形で「have to」や「should」の方が使いやすいので、以下で例文を詳しく見ていきましょう。「have to」も自分や相手への義務を強めに言えますが、状況的な背景や客観的な見解が込められています。
ビジネス英語でも、「I have to admit that this project did not materialize.(この計画が成立しなかったことを認めざるを得ません)」など、現状を汲み取った発言など自然にできます。
一方で「should」には過程的な導きやアドバイス、助言といったニュアンスが強いので、強制力自体はmustやhave toと比べたら低いです。義務というより、適切というレベルでの提案が近いですね。
上記の例文と関連して、「You should admit that this project did not materialize.(この計画が成立しなかったことをあなたは認めるべきです)」と、ビジネスの会議の場で上司から言われたと仮定しましょう。
その際、mustやhave toで告げられた場合には「やっぱりこの計画はどうしてもダメだった」や、「今の状況から見て、良くなかったと認めるべきだ」と義務的に受け止めることもできるでしょう。
ただ、shouldの表現だとアドバイスや話し手による主観的な見解も含まれている可能性があります。そのため、聞き手には選択肢があり「上司の意見は合理的ではないからまだこのプロジェクトは続けたい」「どうして成立しなかったのか、納得できない」といった反論も生まれるかもしれません。
肯定文では「〜した方が良い」「〜するべきだ」と表現できる「have to」と「should」ですが、疑問形にした場合ではそれぞれ目的が異なります。
「have to」では客観的な判断でしなければならないこと(義務)を伝える役割がありますが、疑問形の場合でも相手に対して義務や規則について確認する場面で利用されますね。
What time do I have to come to work? (私はいつ出社するべきでしょうか)
Does she have to attend the meeting? (彼女はその会議に出席するべきでしょうか)
「have to」は助動詞の一種ですが、変化のパターンは一般動詞のような形になるため、三人称単数では「has to」で疑問形の場合は「Does~」との変化をします。
三人称単数の基礎について確認するほか、疑問形では「What」などの疑問詞も多用するので、基本的な文法の復習も大事ですね!
▷疑問形のパターンについて基礎からチェック【疑問詞の使い方】
対して、「should」では通常の文(肯定形)では「〜した方が良いですよ」と提案するように、疑問形では逆に提案して欲しい・指示が欲しい場面で利用されますね。
How should I study english? (どうやって英語の勉強をすれば良いでしょうか)
How should I be liked by him? (どのようにすれば彼に好かれるでしょうか)
例文では受動態も入れて表現してみましたが、「be+過去分詞」の形について詳しくは受動態の基本文法・活用方法でも解説しております!
また否定形では「have to」と「should」のほか「must」でも表現できますが、肯定形と同様にニュアンスがそれぞれ異なりますので、以下で比較してみましょう。
【否定形で表現する場合】
また、否定形のルールについてhave toだけ異なります。一般動詞と同じ変化になるため、否定形の作り方について一通りチェックしてみるといいですね!
「must」が強い義務や命令を示すように、否定形でも「〜してはいけない」と明確な禁止・否定表現になりますね。以下例文の通り、「must not」は「mustn’t」と省略形でも言います。
You must not go out today. (あなたは今日、外出してはいけません)
I mustn’t get angry. (私は怒ってはいけない)
一方で「have to」の否定形では「してはいけない」ではなく、「しなくてもいい」との解釈になります。すべき義務がないため、しないことに対しては「強制」ではなく「選べる権利」があります。
You don’t have to take the minutes.(あなたは議事録を取らなくてもいいです)
She doesn’t have to listen to her husband. (彼女は夫の話を聞かなくてもいいです)
言われた相手にとっては、してもいいししなくても大丈夫なことです。肯定でのshouldと同じようなニュアンスがあり、義務まで行かない否定なので上記の例文から言えば議事録を取ったり夫の話を聞くという選択も取れるでしょう。
「Should」肯定形・疑問形と同様に提案の要素があるので、相手(または自分)が「〜しない方が良い」との表現ができます。
You shouldn’t obey your boss. (あなたは上司に従わない方が良いです)
I shouldn’t do it myself. (それを自分自身でやらない方が良いだろう)
これまで、mustやshouldに関して義務を示す用法で説明してきましたが、助動詞には推量で使うことも日常会話で多いです。
助動詞の用法・使い方でも解説していますが、「〜かもしれない」や「〜に違いない」などを表現する推量・推定もそれぞれの助動詞で比較するとネイティブのニュアンスがつかめるでしょう。
mustを推量で使う場合、日本語で置き換えると「きっとそうでしょう」「絶対に違いないです」と、確定にほぼ等しい断定ができます。
日常的な会話で、「明日は晴れそうかな」とか「あそこのカフェにいる女の人、会社の人かも…?」など、推測的なことも話しますよね。
いわゆる推量と呼ばれる表現の中で、mustは根拠があり「絶対」の自信が持てる時に使います。以下のような例文が分かりやすいでしょう。
主観的な推測だけでなく、理由や根拠が明確になっている場合mustで確定に近い「〜だろう」が言えますね。
mustの時制に関する注意点で、基本的には現在形(または現在進行形)での事象・状態を対象にします。今時点のことに関して、確信が持てるような推測ができます。
そのため、現在のことを示す「It must be raining now.」は適切ですが、「It must rain tomorrow.」など明日のことを言うのは少し違和感があります。
やはり、未来のことを「絶対そうだ!」と断言して言うことへの疑問があるでしょう。将来的な推測であれば、以下で説明しているshouldを使うといいですね。
shouldを推量で使う場合には、mustとは違い根拠や明確な理由がなくても問題ありません。個人的な期待や推測が含まれる程度の確度となります。
shouldで表現する推定・推測は、感覚的には半分以上・中程度の可能性でしょう。根拠らしい根拠はないものの、「多分そうだと思う」とか「こうなっては欲しいなあ」という主観が入ります。
一般的な推測・推定の表現で、確定的ではないものの何かそういった想像ができる背景がある感じでしょう。
shouldはmustと違い、不覚的な推測になるため現在だけでなく未来の時制でも使えます。
そのため、根拠がある推測でも未来の内容であればshouldが自然です。例えばとある会社の業績がかなり、将来的な需要も見込まれることが分かっている場合には「That company should grow all at once.(その会社は一気に成長するはずです)」と表現できます。
mustとshould以外の助動詞でも、推量の用法があるので以下でまとめました。
「たぶんそうじゃないでしょうか」や「なんとなくだと〜だと思う」程度の可能性が低い推測には、mayが適切です。
例えば、必ずではないけど状況によっては相手に連絡をする機会があった時、「I may call you later.(もしかしたらあなたに電話をするかもしれません)」と言うことができます。日本語での確度では「たぶん・もしかしたら」くらいの可能性でしょう。
willは未来の時制で使う助動詞のイメージが強いですが、推測的な用法もあります。
未来時制の助動詞なので推定も未来だけと思われがちですが、厳密に言うと以前の状態や情報・推測に基づくものなので、現在に関する推量も表現できます。つまり、現在地点から見る未来だけでなく、以前(過去)から考える未来(現在)の推定が可能です。
例として、今日から出張と報告があった彼女について「She won’t be at office now.(彼女はきっと今、オフィスにいないでしょう)」という言い方ができます。
▷関連記事:Willとbe going toの違いを解説
義務的な表現のほか推定の用法も説明しましたが、これまでご紹介しましたshouldについて、一つ疑問が残ります。
それは、shouldはどうして過去形のまま使われるのか=現在形であるshallが使われないのはどうして? という点です。
実はshallも助動詞で活用する機会はあるのですが、shouldと比べると使うシーンが限られていますので、基本的には「〜するべきです」の提案的な義務ではshouldが一般化されています。
現在形のshallにも義務や推量の用法はありますが、コアイメージとしては運命的に決まっている・確信的な内容となります。
避けられないことがコアイメージにあり、mustと似たような強制力があります。運命的な決定事項から「必ず〜でしょう・〜をしなければなりません」や「〜をしませんか?」という提案もできます。
ただ、shallの表現は固い印象があり、日常的な会話ではあまり利用されません。
有名なフレーズ「Shall we dance?(踊りませんか?)」も相手へ使う疑問形では割と浸透していますが、ネイティブ(アメリカ人)は実際の英会話であまり使うことはないですね。
相手へ誘う言い方では、シンプルに「Let’s dance!」や基本動詞のWantを使った「Do you want me to dance with you?」との表現が、日常会話で自然となります。
また、shallはルールや法律に関する規定の明文化でも使われることが多く、英文での契約書で「Buyer shall pay to Seller the price for the Products in accordance with the following provisions.(売主は買主に対して、本製品の代金について以下の条項に従って支払わなければなりません)」といった表現がされます。
このように、Shallでの英語表現では丁寧すぎたり口語(日常会話)では不自然なニュアンスになることもありますが、shouldにすることで以下のような要素が加わります。
微妙な変化で少し難しく感じるかもしれませんが、例文で確認してみるとイメージできます。会社の就業規則について守らない社員へ伝える場合に…
ネイティブによってこの辺りの細かい捉え方は多少変わりますが、ざっくり言えることとしてshallは固い印象であるのに対してshouldは少し譲歩できているような、柔らかい伝え方ができます。そのため、日常会話やビジネス英語では基本的にshouldを使うのが無難です。
「義務」を表現する3種類の英単語についてご紹介しましたが、「must」は強い口調であったり、「should」よりも柔らかい言い方で相手に伝えたい場合など、言い換えをしたい際には以下のフレーズが使えます。
You had better go to the hospital. (あなたは病院に行った方が良いです)
「had better」は「〜した方が良い」といった意味で、「should」と同じような表現ですね。詳しくは、had betterのニュアンス・正しい使い方で解説しております。
I suggest that you be more careful. (あなたが注意深くなることをおすすめします)
「suggest」は提案する・示唆するという意味で、「〜することを推奨・おすすめします」と、より丁寧な言い方ができます。
You might want to use it. (それを使ってみてはいかがでしょうか)
また、「might want to」も便利な表現で「〜するといいですね」とか「〜してみてはいかがでしょうか」と、相手の気持ちを尊重した提案が可能です。目上の方への提案などで、使いやすい表現ですね!
「must」や「should」などの助動詞は使い分けができると、日常英会話やビジネス英語でもより柔軟な言い回しができますので、基本的な表現から確認してみてはいかがでしょうか。
また、「have to」もネイティブが使う表現や例文を参考に、普段の英会話練習で取り入れてみるといいでしょう。ただ暗記するだけでなく、相手にどう伝わるか、どのような感情や意図でコミュニケーションを取れるかまで意識できれば、よりレベルアップできますね!
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