時間の経過を的確に表現し、日常会話での表現力を広げる秘密の武器があります。
それが現在完了形です。
現在完了形には文法の基礎、意義、応用方法などの重要な要素が含まれています。もしかしたら、あなたも今までにその力を活かしてきたかもしれませんが、さらに深い理解を得ることで、英語の表現力が飛躍的に向上するでしょう。
この記事では、現在完了形の使い方や文法ルールを詳しく解説し、実践的な問題も用意しています。自信を持って英語を話すために、現在完了形の力を身につけましょう。
現在完了は日本語にない英語独特の表現です。確実に理解するには3つの学習ポイントをおさせる必要があります。
詳しい解説をする前に、現在完了の概要から解説します。以下の3つの要点に絞ったので、完了形の大まかなイメージを掴んで頂けたら幸いです。
まずは簡単に概要について解説していきます
英語の現在完了形は「主語 + have(has)+ 過去分詞」の形で表現されるもので、以下例文のような使い方が一般的です。
こちらの例文では「I work in this company.」や「She is here.」といった通常形でも意味は通りますが、現在完了形にすることで過去から継続していること(働き続けている・ここにずっといる)を表現できるのがポイントです。
そもそも完了形とは時制の一つで、継続している状態や動作を表現する文法です。時間の幅を強調するさいに役立つ文法です。「〇〇年間・週間・日」など継続している期間を示す言葉と相性が良いでしょう。
He has played tennis for 6 years.
「彼はテニスを6年間プレイしている」
例文のように、テニスを継続している期間が6年間です。このように習慣的に続けている動作・状態を表現できます。
時間の幅を強調した完了形の例文
「継続」の現在完了形での例文では過去に「禁煙をする私」がいて、そこからずっと禁煙をしている私という存在が続いており現在では「2年以上も禁煙している私」になったということですね。
現在完了形という時制についてイメージするなら、過去に発生した事象・存在が今という地点まで繋がっていて、それで現在での結果はどうなっている?ということを表現する一連の流れを掴んでおきましょう。
「完了・経験・継続・結果」を英語で表現する時に役立つのが完了形です。これらを完了形の4用法ともいいます。
イメージのように4つの状況を思い浮かべてください。4つのイメージにある共通点は「時間の幅」で、ある一定期間の動作・状態を表しています。
2章では時制の役割について詳しく解説していきます。
現在完了形の役割は、時間の幅を表現することです。そのため、現在形や過去形の単純な時制とは使い分けが必要です。
現在完了形の役割を正しく理解するためには、以下の3つのポイントが重要です。
それでは、これらを詳しく解説していきます。
現在完了形は、時間の範囲を表す役割を果たします。ここでは、その役割をさらに具体的に解説していきます。
現在完了形には、継続をはじめとするさまざまな用法がありますが、どの用法でも共通しているニュアンスとして「過去に存在した事柄や出来事が現在と関連している」というイメージがあります。
She has already read this book.
(彼女はすでに、この本を読み終えています)
その例文を使った場合、現在完了形を用いることで、過去に「本を読む彼女」が存在し、それがずっと続いていた結果として「読み終えた彼女」が現在に至ったという解釈ができます。現在完了形は、過去のアクションや状態が現在の結果や状況とつながりを持つことを表現するのに適しています。
I haven’t smoked for over 2 years.
(私は2年以上禁煙しています)
その例文では、現在完了形を使用することで、過去に「禁煙をする私」が存在し、それが継続している結果として「2年以上も禁煙している私」になったことを表現しています。現在完了形は、過去のアクションや状態が現在まで継続していることを強調するのに適しています。
現在完了形と過去形では明確な違いがあり、過去形は単純に過去の事象や存在について述べているだけで現在に関する言及はありません。
以前は禁煙していたが、今はタバコを吸っている。例のように、過去と現在の行動には継続的な繋がりがありません。
過去形については以下の2つの記事を参考にしてください。
また、現在完了形との対比では過去完了形の時制もあり、過去完了形では過去のさらに過去から起きていたことが継続して、そこから過去の一点でどうなったのかを表現しています。
過去完了形では時制(時間)が一つ前にズレたイメージで、現在ではなく過去の結果や完了を意味していますね。詳しくは以下の関連記事でもご紹介しています。
現在完了形は「過去にあった存在や事象など何かが現在と繋がっている」を表現すると説明しましたが、細かく分類すると以下の4パターンがあります。この4パターンを完了形の4用法と呼びます。
3章では4用法に関する詳しい解説をします。それぞれの使い方や、日常英会話でよく使う表現など個別で解説していきます。
現在完了を学習する際の大事なポイントが4用法です。4用法とは以下の通りです。
それでは現在完了形の4用法について詳しく解説していきます。
例文:I have broken my bone since last month.
「先月から骨折している」
継続用法は現在完了の代表的な用法です。ある一定期間を継続している状態・動作を表します。
過去から現在まで継続している状態や動作を表すに相応しい文法表現です。「(一定期間)〜している」と訳せると良いでしょう。
この継続用法を使って「〇〇年間・〇〇日・〇〇時間」状態や動作を継続する様子を表現できます。
例文:I have been to Hawaii before.
「以前ハワイに行ったことがある」
継続用法と同じく、過去から現在にかかる時間の幅を表します。人生という継続している時間の中で、経験した事、というニュアンスですね。
経験に関する現在完了形では「今までに〜をしたことがある」と訳せますね。過去の単純な動作とは違って「過去に〜をしました→結果、現在ではこれだけの経験を持っています」と解釈すると良いでしょう。
回数を表す言葉は以下のような表現がございます。
経験用法でよく間違えてしまうのが「〜へ行ったことがある」という表現です。
「行く」がGoの過去分詞と勘違いしてしまいます。しかしhave goneを使うと、「〜へ行って、ここにはいない」という結果用法の表現になる特徴があります。
経験用法で間違いやすい表現なので注意が必要ですね。
参考:Been vs Gone – English in A Minute BBC
完了用法は継続用法を応用した表現方法です。一定期間継続してたことを「たった今・ちょうど終える」ニュアンスです。
例文:It has just stopped raining.
「たった今雨が降り止んだところです」
現在完了形での完了用法は日本語で「たった今〜したところだ・ちょうど〜した」といった訳し方が一般的で、過去から続いていた動作や状態が完了したことを伝えます。
ちょうど昼食を食べ終えた現在のことを意味したり、否定形を使うことでまだ完了していないことも表現します。
また、完了や結果に関する現在完了形では「ちょうど」や「すでに」など、日本語でもよく使うようなフレーズがあります。
「just」や「already」は過去分詞の前に置き、「yet」は文末に置くのが一般的です。いずれも副詞である単語なので、品詞的な意味や基礎も確認しておくといいですね。
疑問形で「〜yet?(もう〜しましたか?)」と否定形の「have not ~yet.(まだ〜していません)」も現在完了でよく使うので、セットで覚えておきましょう。
上記の例文を訳すと「私は映画をみた」と訳せます。完了形のニュアンスを入れると「私はちょうど映画を見ました」となります。しかし結局は過去と完了用法の使い分けが曖昧です。
「直近の過去」は完了形で表現するルールなのですが、「直近」とは一体いつを指すのでしょうか。
5分前なら現在完了で、8分前は過去形?などと、具体的な定義がないと悩んでしまいます。
しかし会話は感覚で話されいるので、具体的な定義などありません。そこで大切なのが、自分にとって最近の出来事であるか、どうかが鍵となります。
あくまで考え方の一例ですが、映画の内容を鮮明に覚えていれば、それが1週間前だろうと10分前だろうと「直近」と言えます。だから現在完了が使えます。しかし記憶を思い出すのに時間がかかれば、2・3日前だろうと遠い昔のように感じます。その場合は過去形を使う、という判断も可能です。
結果用法は完了用法の応用で、状態・動作が終わった結果の「今」に焦点が当たっています。
例文:I have just painted the bench.
「たった今そのベンチにペンキを塗り終わったところです(ペンキ塗りたて)」
完了用法と似たようなニュアンスですが、結果用法では「今どうなっているのか?」を焦点に伝えます。過去に起きたことで結果どうなったのか、現在の状態を強調して表現してます。
例文でも取り上げましたが、実質的には「〜してしまった・〜したところだ」と完了用法と大枠的には同じですが、「そうなってしまった結果」に注目されますね。スマートフォンを無くした結果今は持っていないことや、彼女がヨーロッパに行ってしまった結果今はいないなど、結果の部分も意識するといいでしょう。
現在完了の結果用法は多くの方が疑問を抱えている用法です。私も以前はよくわかりませんでした。しかし会話には必ずストーリーがあります。そのストーリー(文脈)をイメージしながら考えると理解しやすいかと思います。
もし失くしたスマートフォンが彼女からのプレゼントだったら、見つかるまで1週間でも1ヶ月でも探しますよね。結果、スマホを失くした状態が続いている。これは過去形でも現在形でも表現することはできません。現在完了の結果用法だから表現できるのです。
少し強引なストーリー展開ですが、失くしたスマホが原因で彼女と別れてしまった。そして彼女は旅立ち、結果今ここにはいない。これも結果用法が出せる独特のニュアンスなのです。
これらについて、詳しく見ていきましょう。
現在完了形を用いた疑問文は、「Have + 主語 + 過去分詞」の形になります。
例:Have you ever been to Switzerland?
(あなたはスイスに行ったことがありますか?)
この疑問文は、過去から現在まで続いている状態や行為について問いかけるものです。
例:How many times have you been to Tokyo Disneyland?
(東京ディズニーランドには何回行きましたか?)
「何回・どのくらいの期間〜?」と具体的に問う場合は、「How」などの疑問詞を用います。
例:How long have you lived in Shibuya?
(あなたはどのくらいの期間渋谷に住んでいますか?)
英語の疑問文の作り方や疑問詞の使用法について詳しく説明したページもありますので、ぜひ参照してみてください。
現在完了形の否定文は、「have + not + 過去分詞」の形になり、「have」の後に「not」を置きます。よく「haven’t/hasn’t」と省略形を使用します。
例:She hasn’t eaten dinner yet.
(彼女はまだ夕食を食べていません)
「have」は助動詞であるため、「can」や「should」などの他の助動詞も否定形では「can’t」や「shouldn’t」の形になります。これについては、助動詞の使い方をまとめたページで詳しく説明しています。
現在完了形を受動態で使用したい場合は、「have + been + 過去分詞」の形になります。
例:I’ve been called by her for a long time.
(私は長い間、彼女に呼ばれ続けています)
例:This mountain has been covered with snow since last week.
(この山は先週から雪に覆われています)
「〜されている」という受け身の表現で、現在も続いている状態を現在完了形で表現すると、より精確な意味を伝えることができます。
▷中学英語から復習する受動態について詳しく説明したページもご覧ください。
現在完了形で用いる過去分詞の語形変化も重要な要素です。be動詞の場合は、「been」に統一されるので分かりやすいですが、一般動詞の場合、規則動詞と不規則動詞で変化が異なります。
規則動詞の場合:語尾に「ed」または「d」が付く|例:look-looked-looked
不規則動詞の場合:原形・過去形・過去分詞の形がそれぞれ異なるという4つのパターンがあります|例:break-broke-broken
初めて見ると難しく感じるかもしれませんが、一定のパターンを覚えることで全ての単語の過去分詞を覚える必要はなくなります。そのため、語形変化の規則を理解しておくと便利です。
不規則動詞94単語をまとめた記事も合わせてチェックしてみましょう。
第5章では、現在完了形について深く理解するための練習問題をご用意しています。
各問題を丁寧に解いていきましょう。これらの問題を解き終えると、現在完了形について深い理解を得られるでしょう。
以下の空欄に現在完了形を適用して完成させてください。
以下に各問題の解答とその解説を示します。
以下の各文は、現在完了形のどの用法を表現しているでしょうか?
以下に各問題の解答と解説を示します。
現在完了の4用法に関する英作文です。以下の日本語を英文にしてください。
経験に関する英作文
継続に関する英作文
完了に関する英作文
結果に関する英作文
英作文の解答はこちらです。
以下の英文の空欄を適切な形にしてください。
回答と解説は以下の通りです。
現在完了形の記事では、重要な要素として文法の基礎、完了形の意義、日常会話での応用が解説されました。時間の経過を示す役割を持つ現在完了形は、過去から現在へと続く動作や状態を表現し、過去形との違いを理解することが重要です。
継続的な表現、経験を示す表現、完了を示す表現、結果を示す表現の4つの使い方を学びました。さらに、文型と語形の変化の確認を通じて実践的な問題に取り組み、現在完了形の使用を習得しましょう。
現在完了が使いこなせれば、時間の流れを表す素晴らしい表現力を手に入れることができます。
また現在完了と同様に以下の時制を学ぶこともお勧めします。
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