英語の仮定法に対して難しい文法だったり、解釈が今ひとつ分からないという印象を持つ人もいるでしょう。仮定法について簡単に説明すると、現実ではまずあり得ない仮定の状況を言ったり、現実とは異なる話をする場合に使われます。
「もし今、〜だったら、〜しているだろう」
「もし過去において〜だったら、〜していただろうに」
など、空想上の話をするのが仮定法で、今の話(仮定法現在)で語られるほか仮定法過去や仮定法過去完了など様々な時制があります。
文法的なルールが少々複雑ですが、基本のパターンを覚えておけば英会話でも応用できたり表現の幅がかなり広がりますので、仮定法の使い方について一通り確認してみましょう!
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仮定法は現実では考えられないことや、現実的に可能性のない内容について話をする際に使う文法です。現実にはないことについて、仮説だったり仮想など様々な言い方ができますが、現実では起きていないこと(現在・未来)のほか現実では起こらなかったこと(過去)に対する仮定がなされます。
If I were you, I would change jobs.(もし私があなただったら、転職しているでしょう)
→私=あなたという現実であり得ない仮想的存在における仮定を表現
I wish I could sing with BTS.(BTSと一緒に歌えたらいいのになあ)
→BTSと共演するという不可能な仮想的事象への願望
私があなたと同一であることも、BTSと同じ舞台に立つことも現実的に不可能ですよね。このように、現実離れしている事象や存在について仮定法で言うことができます。
ただ、一つ注意点がありまして「if」を使った直説法との使い分け・違いも知っておく必要があります。
If I eat curry for dinner, I’ll send you the picture of it.(もしも、晩ご飯に私がカレーを食べるようなら、その写真をあなたに送りますね)
例として上の例文が直説法の「if」ですが、晩ご飯にカレーを食べる仮説は不可能でなく現実的に有り得る話ですので、言わば条件的事象に対する説明となります。
そのため「私がもしも大学生になった時」や「夏のボーナスが2ヶ月分以上出たら」など、同じように「if~」で表現しますが、仮定法とは異る直説法の話になります。仮定というより、条件を指定する目的での「if」になりますね。関連記事でもご紹介しております。
また、仮定法と間違えやすい「if」では名詞節の使い方もありますね。
I want to know if it rains today.(今日は雨が降るかどうか知りたいです|名詞節のif)
「〜であるかどうか」という意味のif節は「もしも〜」と訳さないので注意しておきましょう。
仮定法では基本、現在のことは過去形にして、過去のことは過去完了形にする傾向がありますね。現在形の「〜だろう・でしょう」も文法上は過去形にになる理由なども、仮定法の概念を理解する上で知っておくといいでしょう。
▷英語の時制について基本からチェック【進行形・過去形・過去進行形の違い】
仮定法の時制について、以下4種類があります。基本的な形は仮定法過去・仮定法完了ですが未来形や現在形での表現も可能です。
仮定法の時制 | 使う目的・意味 | 文法・語順 |
仮定法過去 | 現在での理想や願望 | If + 主語 +動詞過去形, 主語 + 助動詞過去形 +動詞原形 |
仮定法過去完了 | 過去の理想や願望 | If + 主語 +had +動詞過去分詞形, 主語 + 助動詞過去形 + have +動詞過去分詞形 |
仮定法未来 | 可能性の低い未来の理想や願望 | If + 主語 +were to +動詞原形, 主語 + 助動詞過去形 +動詞原形 |
仮定法現在 | 現在の願望(提案や要求など) | 主語 + 提案や要求などの動詞原形 + that + 主語 + 動詞原形 |
仮定法の英文では「もしも〜であったなら」と仮想的存在・事象について言う「if節」と、「〜であろう」と願望や理想を伝える「主節」がセットになっています。願望の時制によってif節や主節の動詞や助動詞(would/couldなど)が変化しますね。
また、相手への要求や提案で伝える仮定法現在はif節でなく「that節」で表現する違いもあります。
上表でも記載しておりますが、仮に現在時点での願望を伝えたい場合でも過去形になります。
If she were here, I would give her my new business card.(もし彼女がここにいたなら、私の新しい名刺を渡していたでしょう)
→現在時点の願望が過去形になる
If I had met her, I would have learned the piano.(もしも彼女に会っていたならば、ピアノを習っていただろう)
→過去時点の願望が過去分詞になる
現在の内容が過去に、過去の内容が大過去(過去分詞)という感じで一つ前にずれるイメージですが、これには仮定法の特徴である現実との解離性・違いと関連しております。
過去形の役割では時間的な隔たりだけでなく、距離感としての隔たりも表現できるため、現実に実際に起きていることとの区別や現実から遠いことを示すために、あえて時制を後ろにしていますね。
※特に、「would」や「could」などの助動詞は過去形で使うケースはあまりないので、if節とのセットで助動詞過去形が出てきたら、「これは現実世界では起きていない仮想的な出来事だな」と仮定法を認識・区別します。
仮定法の意味や時制のルールについてご紹介しましたが、それぞれの時制に対応する仮定法の作り方や例文も解説いたします。
仮定法過去は上記の時制ルールでもお伝えした通り、現実と違うことを表現する距離感や隔たりを表現するために過去形を使います。
助動詞については過去形になるほか、後に続く動詞が原形になるルールもあります。詳しくは助動詞の基礎・意味の比較ページでもご紹介しています。
If I were an entertainer, I would live in Aoyama.(もしも私が芸能人だったら、青山に住んでいるだろう)
→実際はタレントではない一般人で、青山には住んでいないのが現実
If you gave me 100 million yen, I could forgive you.(もし、私に一億円あげるようであれば、あなたを許すことができるのに)
→そんな高額は払える訳もなく、あなたは許すことはないのが現実
仮定法過去について一つ補足があり、通常の過去形であれば「am」や「is」は「was」に変化しますが、仮定法過去限定で「were」と表現します。一般的なbe動詞過去形の変化とは違うパターンなので、仮定法過去の場合be動詞は「were」と覚えておくといいですね。
仮定法過去完了では、過去に対する願望を意味するのでより前の時制である過去完了を使いますね。
過去完了では過去分詞形で動詞を使うため、一般動詞の変化ルールも知っておくといいでしょう。一般動詞(規則動詞・不規則動詞)の過去形・過去分詞のルールで取り上げていますので、ご参考くださいませ。
If I had warned you yesterday, this accident wouldn’t have happened.(もし、昨日あなたに警告・注意していれば、この事故は起きなかっただろうに)
→実際、あなたに警告しなかったから事故は発生してしまった
If I had been born in England, I would have spoken English in my childhood.(もしイギリスで生まれていたら、子供の頃から英語を話していたことでしょう)
→実際、海外生まれではないので英語も話していない
過去の事実とは違うこと・反対の仮想的事象・存在に関しては、仮定法過去完了で伝えられます。詳しくは、仮定法過去完了の解説ページでも取り上げておりますので、ご参考くださいませ。
仮定法は未来のことも表現可能ですが、仮定法未来では「可能性の低い未来」に対する願望を言います。仮にある程度期待される予定や意志であれば、「be going to」や「will」で通常の未来形表現が使われますね。
▷未来形の表現方法・willとbe going toの使い方まとめ
If I were to get hired at Google, I’ll work on search algorithms.(もしも私がGoogleに転職するなら、検索アルゴリズムに関する仕事をするだろう)
→可能性の低い転職について語られているので、仮定法未来の表現
それと、仮定法未来では助動詞の「should」を使うパターンもあり、可能性が低いニュアンスで「もしも万が一〜だとしたら、〜でしょう」と言います。
If you should get fired, I would argue with the president.(もし万が一あなたがクビになったら、社長に反論するでしょう)
より可能性が低く考えにくい仮定について、「should」で表現します。助動詞は「〜するべき」など一つの意味に限らず、文章によって様々な役割があり、詳しくは助動詞shouldの使い方でもご紹介しています。
また、仮定法現在では現在のことや将来的な内容について、要望や提案・要求など相手にするシチュエーションで使うことが多いですね。他の仮定法と違う点で、以下例文のようにthat節を入れています。
I suggested that my friend go to the hospital.(私は友達に、病院へ行くことを提案しました)
He demanded that I attend the meeting. (彼は私に、会議に出席することを要求しました)
that節の動詞は現在形でなく動詞原形になるため、主語が三人称単数であっても「s」はつきませんね。理由としてはthat節では動詞の前に、本来「should」(〜するべき)があるのが省略されているため、動詞原形になります。
この仮定法現在では相手の要望や提案に関連するので、以下の一般動詞をよく使います。あわせて確認しておきましょう。
英語での仮定法は上記でご紹介しました4種類の時制パターンが基本ですが、そのほかにも日常英会話で応用しやすい表現もあるのでまとめました。
仮定法では様々な言い回しができて、個人的な感情も入れられますのでぜひ実践してみましょう!
「wish」は「〜を願う」を意味する一般動詞ですが、仮定法とあわせて使うと「〜であればいいのに・〜だったらなあ」など、現実にはなかった仮想的事象・存在について表現できます。
I wish I were Johnny Depp’s son.(ジョニーデップの息子だったらなあ|仮定法過去の「were」で表現)
I wish I had passed Tokyo University.(東京大学に合格していたらよかったのに|仮定法過去完了の「had passed」で表現)
if節と主節の仮定法において、主節を省略したような形ですね。時制のルールは同様に、過去のことであれば過去完了が使われます。
「It’s time + that + 主語 +動詞原形」で、「〜する時間だ」という直訳になりますが仮定法の要素もあり、「今現在で〜する時間だけど、まだやっていないよね?(その時間は過ぎているよね?)」とのニュアンスを含みますね。
It’s time(that)you went to the station.(駅へ行く時間です)
→あなたはまだ駅へ向かっていない、という状況
that節以降は過去形になりますが、「that」を省略する場合も多いです。
「as if」または「as though」で「あたかも〜のように」との意味になり、「実際はそうでないけど〜の感じで・フリをしている」仮定法の表現ができます。
She was walking Roppongi Hills as if she had been a famous actress.(彼女はあたかも人気女優のように、六本木ヒルズを歩いていた)
彼女は実際に売れている女優ではないけど、そんな振る舞い方で六本木ヒルズを歩いていたという解釈になります。また、上の例文では過去進行形も使っていますが、過去の仮想的事象に対して「had been」の過去分詞で対応していますね。
「but for」や「without」も仮定法が使える慣用句で、「仮に〜が無かったら」との仮定ができます。モノや存在などないことを仮想している感じですね。
Without a laptop, I couldn’t work.(もしノートPCが無かったら、私は仕事ができないだろう)
「without」は分の後ろだけでなく、文頭に置いても自然な言い回しになります。
「if only」は「I with」と同じような意味で、「〜であればなあ・〜でさえあればよかった」との解釈になります。
If only I could eat carrots.(ニンジンを食べることができたらなあ)
「If it were not for」では「もし〜が無かったら」という意味で、「without」と同じような役割の仮定法を表現します。
If it were not for copy machine at home, I would go to a convenience store.(もし家にコピー機が無かったら、コンビニに行っているだろう)
if節が過去の話である場合には「had not been for」と過去分詞にします。
今回は仮定法の文法や表現例など一通りご紹介しましたが、現実的ではない仮想的事象・存在に対する願望や希望などを使える用法のほか、時制に応じて動詞の変化もあることなど、英文法の中ではルールが多く覚えられないこともあるでしょう。
ただ、仮定法の文章の作り方など傾向やルールがあったり、「I wish~」でもっとシンプルに伝えられる慣用句もありますので、少しずつ活用してみるのがいいですね。
また、仮定法とセットで使うことの多い助動詞5種類の基本や使い方を確認するほか、以下の記事も参考になりますのでぜひお読みくださいませ!
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