英語で「これはペンです」と言いたい場合には「This is a pen.」と簡単なフレーズで表現できますが、「That is a pen.」と「that」で言う場合もあれば、似たような「これ・それ」で「it」もありますね。
「this」と「that」と「it」は類似しているので、それぞれフィーリングで使い分けている方もいるでしょう。ただ、これらの指示詞や代名詞については使い分けの基準があったり、以下のような特徴があります。
何気なく使っている「this」「that」と「it」ですが、分析してみると興味深い意味・役割があったり、基本の指示詞・代名詞だけでなく形容詞・副詞など別の品詞的な機能もありますので、より理解しておくと英会話表現で役に立ちますね!
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「this」は「これ」、「that」は「あれ」と日本語で訳するように、距離的な違いが一番の特徴ですね。
ただ、距離には空間的な意味だけでなく、時間であったり間接的な出来事を示しているなど様々なニュアンスがありますので、まずはそれぞれ指示詞・代名詞の「this/that/it」をイメージで比較してみましょう。
分かりやすい例では空間的な距離感があり、近いと「this」で遠いと「that」が適切ですね。
といった感覚的な基準があり、例文やイラストでも見てみましょう。
How much is this book?(この本はいくらですか?)
→手に持っている本の値段を聞くイメージ
How much is that book?(あの本はいくらですか?)
→上の本棚にある本について聞くイメージ
やや遠くにあり、すぐに取れないくらいの距離であれば「that」を使います。また、例文では疑問詞を使ったよくある質問をしてみましたが、関連記事でも解説しております。
それと距離感の要素では時間的な間もあり、「this morning・that morning」の違いでも現在からどれだけ離れているか表現します。
I want to lose weight this year.(今年はダイエットをしたいです)
→より近い時間軸の話(今年)
I couldn’t lose weight that year.(あの年、私はダイエットができませんでした)
→過去である年の話
「this year」が今年を意味するのに対し、「that year」は「その年・あの年」と過去の時制になります。このように、時間軸的な距離感も「this/that」で区別しますね。時制や過去形について不安な方は、英語の時制解説ページでご参考くださいませ。
▷例文で使ったcould(can)は便利な助動詞【解説ページでチェック】
「it」も加えた比較では、「それ」が目の前で起きたことか、それとも他人などから知り得た間接的な内容かの違いもあります。
例として、「それは私にとってとても悲しいことです」と言うシチュエーションで、「それ」が友達から聞いた好きなアーティストの引退ニュースだった場合、「that」や「it」が使われます。
That(It) is so sad for me.
→実際には目にしていない、間接的な内容について表現
対して、自分が料理をしている時に生卵をお気に入りのカーペットの上に落としてグチャグチャにしてしまった場合、すぐそこで起きた内容なので「this」が使われます。
This is so sad for me.
→目の前にある残念な事態について表現
より臨場感のある・体験している内容という近さで、「this」が適切だと判断されますね。
それと、「this」と「that」では個人の感情や心理も反映する場合があり、以下ような基準や例があります。
「this」は言わば、自身のパーソナルエリアに近くても構わないニュアンスから、好意的な要素が伺えます。
I like this skirt.(このスカートを気に入りました)
This is very delicious.(これはすごく美味しいです)
▷例文で使っているveryはso・tooと何が違う?【関連記事】
一方で「that」は距離的に遠いことから、対象を遠ざけたい嫌悪感だったり、自分にとって身近でなかったもの=知らなかったものとして扱う場合にも使います。
That guy looks like a con man.(あの男は詐欺師みたいです)
That’s a great idea! (それは素晴らしいアイデアです!)
上記では「this」と「that」の比較を中心に説明しましたが、「it」にも「this/that」と異なる特徴・使い分けが必要になります。
中学・高校英語ではなかなか習わない、ネイティブ感覚の自然な英語表現について「it」では重要なポイントがありますので、こちらも確認しておきましょう。
itが代名詞として使えるパターンとしては、特定の対象である名詞や名詞句に限定されるため、前の文章や会話にある名詞を指示するのが一般的な使い方ですね。
I want PlayStation 5. But it is sold out.(プレステ5が欲しいのですが、売り切れです)
→前の文章にある「PlayStation 5」を「it」が示す
そのため、前情報がない状況で「It is sold out.」と言っても、何を受けて「それ」と示しているのか分からないため、必ず「it」に対する名詞や名詞句を特定させます。
また、「it」は名詞・名詞句に限定した使い方で、文全体を受けることができません。そのため、以下の会話例文は文法上間違っています。
(Aさん)My bicycle was stolen yesterday.(昨日、私の自転車が盗まれました)
(Bさん)It’s too bad. ※間違った「it」の使い方
仮に「it」が示す「それ」が「bicycle」単体であれば問題ないのですが、例文のBさんが言っている「それは残念でしたね」は「Aさんの自転車が盗まれた」文章全体について指しているため、「it」が不適切になります。
そのため、文脈全体を対象に受けられる「this/that」を使うのが正しいですね。
(Bさん)That’s too bad.
→「that」は「My bicycle was stolen yesterday.」全体を意味します。
名詞単体なら「it」で文章全体の内容なら「this/that」の違いが基本です。また、こちらの例文ではBさんが直接見た・体験したことがなくAさんから聞いた内容なので、遠い感覚で「That」の代名詞を使っています。
それと、「it」と「this/that」では一般的な考えか、個人が関わっている限定的な内容かによって使い分けができます。
そのため、以下例文のように文全体を示す代名詞であっても「it」が使えるケースがありますね。
We should attend the meeting on time. It is a rule to follow.(私たちは会議に時間通り出席するべきで、それは守るべきルールです)
例文の「it」は「会議に時間通り出席するべき」の文章全体を意味しますが、一般論のルールに関する内容から「it」で置き換えても自然な表現です。
I was often late last month. I’m ashamed of that.(私は先月、たびたび遅刻していました。それを恥ずかしく思います)
また、個人的な経験から述べている内容では限定した内容なので「that」で「I was often late」の部分を示していますね。自分の意見や考えを伝える場合に、「this/that」のが自然でしょう。
「this」と「that」と「it」について、それぞれ単体で使える代名詞のほか、形容詞的用法や副詞的用法など文法的な観点からいくつかパターンがありますので整理しました。
「this」と「that」の比較でも取り上げた距離感に関する説明補足では、名詞を修飾する形容詞用法になります。
Can you give me that pen?(あのペンをもらえますでしょうか)
I work at home this week.(今週は家で勤務します)
距離的なイメージや、「week」など時間を示す名詞とセットで使うことが多いですね。それと、「this」や「that」の代わりに定冠詞の「the」をつけることもありますが、聞き手と話し手の両方で共通認識のある名詞で「the」が使えるルールがありますね。
定冠詞に関しては、aとtheの違い・文法の解説ページで取り上げていますのでご参考までに。
他の名詞に付随せず、「this」や「that」のほか「it」自身が名詞の役割になる名詞的用法もあります。
名詞に代わる働きから代名詞とも呼ばれますが、上記でご説明しました距離感のほか特定の情報(前の文章・会話で出てきた名詞化?)や、一般的な内容であるかなど、いくつかの基準で「this」と「that」と「it」を使い分けますね。
I can’t stand this.(それに我慢できない)
He bought a new doghouse, but it was completely destroyed by a typhoon.(彼は新しい犬小屋を買いましたが、台風によりそれは全壊しました)
代名詞に関連する名詞には様々な種類があり、上例文の「dog house」のように名詞が名詞を修飾して使う単語もあります。調べてみると興味深いので、関連記事をぜひお読みくださいませ!
「this」と「that」には副詞的用法もあり、名詞だけでなく形容詞に対して「こんなに・そんなに」と程度を説明する際に使えますね。
I think her boyfriend’s annual income is not that high.(彼女のボーイフレンドの年収は、そこまで高くないと思います)
I didn’t think it was this cold today.(今日はそこまで寒いとは思いませんでした)
他にも、副詞では「often」など頻度・度合いを表す副詞表現をよく使うので、チェックしておくといいでしょう。
「this」と「that」・「it」の用法や比較について一通りご紹介しましたが、指示詞や代名詞では他の文法・品詞とも関連することが多く、以下でもご説明する複数形や定冠詞の使い方なども確認してみると、より「this/that/it」への理解が深まるでしょう。
指示詞・代名詞の「this」と「that」は複数形にする場合、それぞれ「these」・「those」に変化します。複数形になった場合でも、距離感などの使い分けや考え方は同じですね。
These girls are my students.(この女の子達は私の生徒です)
→身近な存在として「these」を使っている
Can I throw away those magazines?(あの雑誌は捨てても良いでしょうか?)
→遠いところにある位置的な意味や、捨てたいというマイナスなイメージ
また、形容詞的用法で「this」や「that」を使わず「the」がつく場合には、距離感のイメージは関係なく自分と相手の両方が知っている名詞の条件がつきます。
I will explain about this problem.(この問題について説明します)
→「私」はある程度理解している身近な問題だけど、聞き手にとって認識していない状況
I will explain about the problem.(問題について説明します)
→「私」も聞き手も認識している共通の問題
あえて「the」を冠詞で使う名詞には、複数存在しない固有名詞なども該当します。あまり考えずに使うと「the」や「a」や「this」など、法則なく適当になってしまうこともありますので、一度文法ルールを確認しておくといいですね。
指示詞や代名詞と関連性の高い名詞や、形容詞的用法など他の品詞・文法も把握しておくことで、より幅広い英語表現が身に付くでしょう。
名詞の基本知識・英会話で使う5種類の名詞分類も参考になるほか、以下の文法解説ページもご活用くださいませ。
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